寛容な社会をめざして

ナチュラルライフサポートダイアリー~社長の日記~

進化
2015.09.26ダイアリー

進化

連休はお天気にも恵まれ、私はいつもより家事を念入りにし、夜、家族が寝静まってから映画を見たり本を読んだりして過ごしていました。
「理不尽な進化ー遺伝子と運のあいだ」吉川浩満著・朝日出版社 を読みました。
それによると、これまでに誕生した生物のうち実に99.9%が絶滅しているのだそうです。
その絶滅した生き物たちは、進化論が言うところの「適者生存」「自然淘汰」されていったというだけでなく、「運が悪かった」のだとのこと。
そうしたことを現在の人間社会にも当てはめたりして、実に読み応えのある書物で、満足しました。

私たち人類もいまだ進化の途上にあるのでしょうか。
確かに地球規模で様々なことが変化していっているように思えます。
足元のこの国もずいぶん変わりましたし、さらに変わろうとしています。
私たち一人一人もこうした変化に「適応」できなければ「淘汰」されてしまうのでしょうか。
それとも通学中に車に突っ込まれたり、登山中に噴石に直撃されたり、家のそばの川が氾濫したりして「運悪く」命を落としてしまうのでしょうか。
つまるところ人生とは実に不確かなものだということです。
私自身のこれまでを考えてみても、いくつかの岐路で全く違った人生を歩んでいた可能性があったし、それこそ今生きていることの方が不思議と思えるくらい危機的状況を何度か「運良く」生き延びてきました。
レインツリーに通ってくる利用者さんたちは、障害や病気がありながらも実にしたたかに生きていると思える方もいれば、いつ事故やトラブルに巻き込まれても仕方ないというような危なっかしい方もいます。
そういう障害者の方々が少しでも安心して幸せに暮らせるようにお手伝いすることで生きる糧を得ているのが私たちというわけです。

この業界も、進化論風に言えば、みな生き残るために必死に変化に適応しようともがいているといった感じでしょうか。
障害の重い方々への支援やサービスといったところはさほど変わりがありません。
その必要は誰もが認めるところでしょうし、専門性が高いがためにさほど競争もありません。
問題は障害程度の軽い方々へのサービス、特に私たちがいる就労系のサービス分野です。
対象が障害者だろうと健常者だろうと「就労支援」のあり方についての模索は尽きることがありません。
誰にどの程度どんなサービスを提供するか、自己責任やノーマライゼーションの考え方などもこれが正解というものがありません。
働ける人は働くべき、というところはほとんど異論はないかと思います。
ただその「働く」というのはどういうことを指すのか、働けるか働けないかを誰がどう判断するのか、このあたりの共通認識といったものが私たち一人一人にないために、お上の考えと制度に従うより他ないといった感じでしょうか。
ちなみに厚労省は、A型の対象者を、企業等に就労することが困難な者であって、雇用契約に基づき継続的に就労することが可能な65歳未満の者としています。
雇用契約に基づいて就労が可能ならば企業に就労できる方なのではないのか?という疑問がわきます。
そうした制度の不備を嘆く方は多いけれど、ビジネスチャンスと見た企業の参入は後を絶ちません。
そしてそういう企業の中には確信犯的に制度を悪用しているものがあるのは明白なようですが、なかにはそうした自覚もなく、制度を誤用しているといったところがあるのも事実でしょう。
障害者を雇用すると一定期間助成金がもらえるという制度があります。
これは本来障害者を雇用した当初は何かと大変なことも多いだろうからということで支給されるもので、末永く雇用してくださいねという願いが込められているはずなのです。
それなのにこうしたA型の事業者は、助成金が打ち切られる前に一般企業への就職を促すというようなことをしている。促すなんてものじゃなく追い出すなんてところもあるらしいというから驚きです。
そこには一般企業に就職することが三角形のトップにある図式があって、A型から一般就労のそれの何が悪いと疑問をはさむ余地などないようなのです。
雇われる障害者にすれば、A型だろうと特例子会社だろうと、企業に雇われたことに違いはないはずです。雇う側も、障害者であろうとなかろうとその人に会社のために働いてもらいたくて雇うのです。
助成金が目当てな企業は、そうして雇った障害者がどれだけ働いて成果を上げるかに関心がありません。ですから多くのB型の事業所が行っている内職作業のようなことをやらせています。仕事内容や単価などはさほど気にしません。利用者にやらせる仕事量さえ確保できればいいのです。
それでも少しでも多い収入を目指してこうした事業所へ流れる障害者の方が多いのも事実です。
B型の事業所が、またそれ以前の地域作業所と呼ばれていたところが、利用者への工賃にあまりこだわってこなかったし、一般企業へ就職できそうな人まで戦力として抱え込んでしまったりしたことが批判を呼び、こうした事態になっているのでしょう。

けれども苦情なり陳情なりがあまりに多かったのでしょうか、そうした事業所が事実上助成金をもらえないような措置が取られるようになるそうです。

変化に適用して生き残るために、経営者は何をすべきでしょうか。
そもそもなぜ生き残らなければならないのかを考える必要があります。
社員のため、社会のため、この国の未来のためにと考えれば、損か得かでなく、何をすべきかすべきでないかで考えられるのじゃないかと思います。
また本当にいいもの、必要なものにこだわって、必要のないものを作らない提供しないという志を持ちたいと思います。
B型の事業者のなかにはグループホームや相談支援を手掛けるところも出てきています。
ゆりかごから墓場まで面倒を見ますよという、地域にどっかと根を下ろした巨大な社会福祉法人などもあります。
みな生き残るのに必死なのです。
私たちはあくまでB型(いずれまた法律が変わって呼び名も変わるかもしれませんが)にこだわっていきたいと考えています。
就職できる障害者が増えることはいいことでしょう。しかしその方たちが働き続けられるかはわかりません。
厳しい労働環境、世間では相変わらず長時間労働を強いられています。
グローバルに戦うために求められるものも増える一方です。
仕事や家庭、幸福に関する価値観もさほど以前と変わってはいないようです。
障害者が働ける環境とは一言でいえば寛容な職場です。
環境が整っていないなかで障害者が働き続けるのはおそらく相当にしんどいはずです。
やめてしまう方は多いでしょう。そういう人たちのセーフティネットがB型です。
就職する人が増えれば増えるほどB型に落ちてくる人も増えるという残念な構図です。
レインツリーはそういう人たちが安心してやりがいを持って働ける場所を目指します。
日本全国に私たちを待っている人がいる。
そんな自信と確信をもって、関係する人たち皆と一緒に、したたかに生き抜いてみたいと思っています。

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