寛容な社会をめざして

ナチュラルライフサポートダイアリー~社長の日記~

園芸療法
2015.06.23ダイアリー

園芸療法

先日、日本での園芸療法のパイオニア、恵泉女学園大学准教授の澤田みどりさんが、レインツリーを見学にお越しくださいました。
澤田さんは20年前に、アメリカから日本へ園芸療法を持ち込み広められました。

その園芸療法を私が知ったのは、今から10年位前、個人で始めた庭師業がようやく軌道に乗り始めた頃だったと思います。
その頃はまだ新聞配達のアルバイトを掛け持ちし、家事も育児も一人でやらねばならず、人並みに苦労もし、悩み多い日々を過ごしておりました。
そんな私でも、お客様の庭へ出て、青空のもと、芝刈り機を押していると、汗が噴き出してき、草の匂いを嗅ぎながら、ただひたすらに芝刈り機を押していると、いつの間にか日頃の思い煩いはどこかへ行ってしまい、まあ何とかなるさと思える本来の自分がいて、自信と希望とが漲ってくる感じがしたのでした。
そしてふと、その頃からよく言われるようになっていたニートの人たちや、障がい者(といってもその頃の私は障がい者の具体的なイメージなど持ち合わせていなかったのですが)の人たちなどにこの仕事はいいんじゃないか?と思ったのでした。
そしてそういう人たちと一緒に庭仕事をするというひらめきを形にするべく、あれこれ考えているときに知り合ったガーデンデザイナーの方から「そういうことをしている人がいる」と紹介されたのが、町田にある精神障がい者の作業所「畑の家」でした。そして週に二日ほどボランティアをさせてもらうことになったのです。
あとで知ったのですが、畑の家の田丸さんと澤田さんは、今の園芸療法研修会を立ち上げたパートナーだったのですね。
ボランティアといってもそのころの畑の家は、それまで借りていた畑を返さなければならなくなり、次の場所が見つかるまで、マンションの一室で皆で何をするでもなく、集まってごろごろ過ごすといった風でした。「おとなしい人たちだな」というのが私の最初の精神障がい者への印象でした。
あるとき田丸さんから、あなたの仕事へここの人を連れて行ってくれないかと頼まれました。
そして毎回一人ずつ、三人の方を私の仕事の助手として働いてもらったのです。
結果は大失敗でした。
私には精神障害についての知識もなく、ただ私のペースで仕事を進めるだけでしたから、皆オーバーワークで音を上げてしまったのです。
今ではなんて無茶をしたんだろうと思いますが、彼らはよく数日だけでもついてきてくれました。本当に大変だったろうと思います。
それでも彼らの一生懸命やろうとする姿や、働く様子を見て、これは私にちゃんと知識やノウハウがあれば、できる!と思ったのです。
それが始まりでした。

そもそも園芸療法とは何でしょうか?
NPO法人園芸療法研修会のホームページにはこうあります。
「植物は人の心を癒したり、穏やかにしたり、和ませる力があります。
さらに植物を育てる園芸作業は人のこころや感情に自信や自尊心、達成感、満足感、期待や喜びを与えます。
毎日の水やりなど、植物を世話し、成長を助ける関係性の中で、役割を見出し、充実感、自分の存在感を感じることでしょう。
植物・園芸活動の特徴や性質を上手に利用し、リハビリテーションや治療、福祉、教育、レクレーションに使っていくのが園芸療法です」

また、療法であるためには、「相手を理解する力(アセスメント)、的確な目的設定をする力、療法を行うことで当事者にどのような変化が起こりうるか予測をする力が必要です。またどのような場面で当事者が安全で可能性を広げられるか、場面設定も求められます」

つまり、植物をいじっていればそれでいいかというとそうではなくて、人との関わりの中でこそ効果があるものだということを改めて気付かされます。またそこには専門的な知識を持った人間の介入も必要だということも。
自信や自尊心、達成感、満足感というものは自分の肉体を使って成し遂げてこそ得られるものだと思いますし、期待と喜びは、共に働く人がいて誰かのために働くことで与えられます。
人里離れたところで孤独を愛し、自給自足のために野菜を育てるのでは、修行にこそなれ、療法にはならないのでしょう。

園芸療法が、この国で、さらに広まることを願っています。

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