厚生労働省が、障害福祉サービスを手掛ける事業者への報酬について、2015〜17年度の配分方針を決めたとのこと。
重度障害者のグループホームへの報酬を増額する一方で、就労移行支援と就労継続支援A型には厳しい注文がついた形です。
移行支援については、利用者の一般就労への移行実績がない場合の減額。
A型については、利用者の1日の利用時間が短い場合の減額などが打ち出されました。
障害福祉サービス全体への総額の改定はなしと決まっており、どのサービスに手厚く分配するかを検討した結果ということだそうです。
移行支援が、継続支援より基本報酬が高く設定されているのは、専門員を配置した、利用者の一般就労への移行を目的としているためです。
やっていることはB型と変わらず、一般就労への実績もないというのでは、やはり困りますね。
A型の、利用者を短時間交代で働かせて人数分の報酬を得ていることは以前から問題視されてきました。
利用者と雇用契約を結んでいるにもかかわらず、最低賃金を支払わなかったり、そのうえ助成金をもらったりといったこともです。
障がい者が地域生活を営んでいくときに、選択肢が多いことはとても良いことだと思っています。
国としては、できるだけ障がい者にも就労してもらって、年金額の支給を減らしたいのでしょう。
しかし、障がい者が一般企業に勤めるのはそう簡単なことではないから、企業にも障がい者にもメリットのある特例子会社の制度を作った。
その特例子会社にも難しい人のために、就労継続支援A型という福祉サービスでありながら雇用契約を結べるという形を作った。
それでもなかなか状況が良くならないのは、就労してもやめてしまう人が多いのと、そもそも福祉サービスを利用することも、働く気もないという人が多いからでしょうか。
なぜそういうことになってしまうのでしょう。
私には、障がい者が希望を持ちにくい社会になってしまっていることが原因のように思えてなりません。
一言でいえば、不寛容な社会です。
世の中はものすごい勢いで変化しています。
そういう変化に適応できない人が増えています。
世代間のギャップが激しいです。
経済面、教育面での格差が顕著です。
もはや隣の人はよく知っている人ではありません。
みんな自分のことで精いっぱいなのです。
しかし、そんな世の中でも変わらないものもあります。
いくら科学が進歩しても、自然災害はなくなりません。
生あるものが死ぬのも変わりません。
障がい者がいなくなるわけではありません。
強い者と弱い者が常にあるのも変わりません。
障害のある我が子に働く場所がほしいという親の願いも変わらないのじゃないでしょうか。
安心して働ける場所。
障がい者の作業所です。
その作業所も、「月給1万円はけしからん」という声に押されてなくなってしまいました。
今は「就労継続支援B型」という形に変わっています。
世の中がどんなに変わっても、変わらない願いや価値観というものがあります。
そういうものが見直されるきっかけになってくれればと思います。