週の初めの月曜日、
「さあ、今週も頑張るぞ」と気合を入れたり、スイッチを切り替えたりするのに、皆さんは何か有効な手段というようなものはお持ちですか?
どうもうまくいかない、仕事に行きたくないという方にお勧めしたいのが、「しいたけ占い」です。
私の口から占いなんて単語が出てくることに驚く方もいるかもしれませんが、私は毎週月曜日にこの占いから、行動のヒントを得たり、お尻を押したりしてもらっています。
この「しいたけさん」、星座から今週の運勢を占ってくれるのですが、あれはダメとか何々に注意しろとか、そういう危機を煽るような言い方はしません。悪いことに目を向けないで、その星座の人の特徴をわかりやすい優しい言葉で説明し、とにかく褒める、励ます。
これが結構私にはドンピシャだったりするので、すっかりはまってしまいました。
私は水瓶座なのですが、先週の「今週のあなたを分析」では、「美意識の再編成」のエメラルドが出ています、で始まり、水瓶座の人の特徴を「アイデアの収集家」とか、人間関係においては「深い話を何時間もできる人」を選ぶとか、そういう人たちを愛を込めて「変態」と呼び、自分の好きな世界や分野に対して、変態たちと変態的に深く語れる時間を必要としている、などとユニークな表現で表してくれます。
さらに「今週どう乗り切る?」では、広くリサーチの時間にあててみると思って、自分の世界に浸ってください、ですって。
ちょうど先週の金曜日に、月に一度の全員参加の会議があり、ガーデンクラフトショップ「雨の木」のブランドイメージについて説明を求められていたこともあって、過去を振り返ってみたり、改めてリサーチしてみたり、しいたけさんにお尻を押されるようにして準備しました。
けれども、実際の会議ではあまり時間もなく、スタッフらはそれほど私から深い話を望んでいるようでもなかったので、考えたことをこのブログにまとめてみることにしました。
今日は3月11日、震災が起きた日ですが、2011年の3月1日にレインツリーはオープンしたばかりでした。揺れが来て、皆で駐車場へ出てみると、電線がゆらんゆらん揺れていたのを覚えています。その後の津波と原発の映像には驚愕しました。あまりのことにしばらく呆然と何も考えられなくなってしまいました。
幸い当方では、人も建物も無事で、開設したばかりで利用者も少なかったため、大きな混乱はありませんでした。
当時の手帳を読み返してみると、「レインツリー」の他にもいろいろ名前を考えていたことを思い出しました。
「イーハトーブ」や「でくのぼう」など、宮沢賢治を意識したものがありました。就労支援に「でくのぼう」とはいささか挑戦的ですね。
「グッドジョブ」なんてのは、どこかの法人で採用されているようです。
就労継続支援B型事業所「レインツリー」は、障害のある利用者とともに庭仕事をするガーデンクリーンナップサービス「グラスホッパー」と、そこで出た剪定枝などを利用してクラフト製品を作り販売する、ガーデンクラフトショップ「雨の木」とで構成されています。
開設当初は、この「雨の木」がなかなか育たなくて、事業所にスペースも確保していたのですが、企画倒れになってしまっていました。
しかしここに来てようやくスタッフも揃い、恐る恐る始めたクラフト制作の作業も思いのほか利用者にも好評だったので手応えを得、いろんなイベントに参加したりして実績を積み、たくさんのお褒めの言葉などをいただくようになって、近い将来には通販も始めようという夢を抱き始めています。
しかしここで、売れるのはいいけれど、どんな商品を作っていくのか、どんな売り方をしていくのか、いったん立ち止まって考えてみようということになりました。
「レインツリー」の名前の由来を尋ねられた時はこう答えることにしています。
世界中のあらゆる国や地域にレインツリーと呼ばれる木が存在すること、それは雨乞いの木かもしれないし、人々に日陰と癒しを提供する木かもしれない。この木の下に集まる人たちが、特に障がい者や子供やお年寄りといった人たちが、守られ元気になっていく、そんなものをイメージしていますと。
さらに深い話を聞きたそうにしておられる方に対しては、小さな葉を夜に閉じて眠り、朝露を開いた葉から滴らせる木のイメージをお伝えします。
それは、大江健三郎さんの小説「レインツリーを聴く女たち」に出てくるのですが、その大江さんは、友人の作曲家、武満徹さんの楽曲「雨の樹」からインスピレーションを得たとのことでした。
大江さんの小説は私などには難解で、この作品もあまり好きではないのですが、レインツリーの印象が強く残りました。
武満徹さんは、前衛音楽家として映画音楽などを手掛け、いわゆる西洋のクラシック音楽に琴や尺八を用いて日本的に表現したとして、かえって海外で評価の高い作曲家ですね。
クラシック音楽はその始まりのほとんどすべてが、神に捧げる歌、宗教曲でした。バッハにしろベートーベンにしろ、当時の権威である教会から求められる曲と言えば、神を賛美する歌でした。
それを日本人の作曲家がアレンジするとき、一神教の神よりも、宇宙や自然といったものに向かうのは自然なことかと思います。
お二人の「レインツリー」からは、「水」のイメージが湧き出ています。水は「命」であり、それは母親の胎内の水に通じるのかもしれません。
レインツリーは地面に長く深く根を下ろし、深い深いところからその巨体には似つかわしくない細かな柔らかな根を使って水を吸い上げます。
葉の一枚一枚まで水を行き渡らせたその先には雨雲があり、宇宙がある。
天と地を繋ぐ木のイメージでしょうか。
あるいは神と人を結ぶ木でしょうか?
「アダムとイブは狡猾な蛇に唆されて禁断の木の実を食べ、楽園を追放された。その後、男は労働、女は出産という重荷を背負うようになったとさ」
このエデンの園は多くの画家らによって描かれ、多くの作家らによって様々に表現されてきました。
あのアーネスト・ヘミングウェイの遺作と呼ばれているのが、「エデンの園」です。戦争や闘牛や釣りなどを題材にしてきた作家にしては、やや意外な感じがしますが、憔悴して最後は自ら命を絶った作家にとって、やはり性とエロスは重要なテーマだったのでしょう。
この日本語訳の本の装丁に使われた絵は山本容子さんの版画ですが、なんともお洒落。
ホームページを調べてみると、近年はホスピタルアートといって、病院に飾る絵やステンドグラスなども手掛けているそうです。
青い空と植物の緑の中に生きる人間と生き物を描く作品はとても微笑ましい。やや滑稽な人間たちと知的な感じがする生き物たち。
レインツリーからも、アートの才能に目覚めた方たちが頭角を現してきています。
彼らの生み出す作品をぜひ多くの方に手に取っていただきたいですね。
ガーデンクラフトショップ「雨の木」は、なくても困らないけれど、あると人生が豊かに
なるような美しいものを、一つ一つ丁寧に生み出していき、それを心から愛してくれる方へ届けたいのです。
それがレインツリーの使命であると確信しているからです。
ブランドイメージを書いてみるつもりでしたが、言葉にするのは難しいですね。
私自身もいつか、庭と信仰と障がい者をテーマにした小説なりを描いてみたいと願っています。
どこかでお叱りの声が聞こえてきそうですが。。
さて、今週のしいたけさんは、、、?