車が好きです。
運転するのも好きだし、中にいる時間も好きです。
音楽を聴いたりはほとんどしません。
運転しながら大抵は何か考え事をしていますね。
机に向かっているよりひらめくことが多いのです。
やはり脳が活性化されるからでしょうか。
だから私にとって車は、自分だけの部屋でありオフィスです。
だからそこは安全であり、快適でなければなりません。
昭和五十年代のスーパーカーブームに小学生だった世代です。
当時の私の一番のあこがれは、コルベット・スティングレーでした。
米軍基地内で黄色いそれを見たときに、早く大人になってこれに乗るんだ、と誓ったのを思い出します。
車を運転するというのは「大人になる」ということと同じでした。
大人になってどんな車でも乗れるようになってみると、無駄に大きくて無駄に鉄が使われて、無駄にガソリンをまき散らす車はとても持つ気にはなれませんでした。
代わりに手に入れたのはミニ・クーパー。
デザインではコルベットに引けを取りません。コンセプトはまるで違うけれど。
この車での一番の思い出は、家までもう少しというところでエンジンが止まってしまい、娘を助手席に乗せたまま土砂降りの中を家まで押して帰ったことです。
今のミニにそういうことはないでしょうけれど、古い年代のものは雨に弱いということがあったようですね。
でも小さくて軽かったのが良かったのです。
私にとっては、若くて威勢が良かった頃の楽しい思い出です。
若い時も今も、車選びの条件の一番はデザインですね。
もちろん買える金額の範囲内でのことですが。
どんなに性能が良くても、自分の感性に合わないデザインは選びません。
二番目は歳とともに変わってきました。
今は安全性が大事だと思っています。
この十年くらいは、デザインが良くなった事故死ゼロをミッションとするメーカーの車に乗っています。
交通事故死のニュースを見聞きするたびに、防げたのじゃないだろうかと思うことが多いですね。
子どもが犠牲になったりすると、怒りがわいてきます。
家族を失ったりすれば、とても正気ではいられなくなりますよね。
加害者も、人生が大きく狂うこと間違いなしです。
どちらにとっても辛いことです。
わが社では、社用車のほぼすべてにドライブレコーダーを搭載することにしました。
事故の時の敏速な対応と正確な検証のためと、社員の安全運転を促すためにも有効と考えたからです。
さらに、わが社の社員は障害をお持ちの利用者さんを同乗させていることが多いですから、
利用者さんを不安にさせないような安全運転はもちろん、車内での不適切な会話や行動の抑止にもなると考えました。
ハンドルを握ると人が変わったようになる人がいますね。
移動する密室であることが、心に何事かを生じさせるのでしょうか。
ショートコースだからと言って、狭い道を選ぶ人がいますね。
対向車が来たり、障害物や人を避けたりするのは大きなストレスでしょうに、目的地に早く着くことを優先しようとします。
スピードを出すのが平気な人もいますね。
想像力が欠如しているのか、恐怖心というものが欠落しているのかでしょうか。
そういう人は車を運転しない方がいいですね。
そういう人もいるから、道路にいるときは車に気を付けなければいけません。
車は人が動かしているのだから、間違ってあなたの方へ向かってくることもあるんだよ、と子供たちには伝えたいですね。
交差点などでは道路から離れて立ち、スマホなどいじらずに車に注意していなさいと伝えたいです。
それでもやっぱり車が好きです。
車のない生活はまだちょっと考えられないですね。
若い人たちが、スマホのない生活は無理と考えるのと同じくらいにです。
車は大人の乗り物です。
子供が手を出したら怪我をします。
「大人になるとは、働くことと愛すること」と言った先人がいました。
それを実現するには、もってこいの乗り物だと思うのです。