「正月にガツガツやるんじゃねえ」と、若い頃に職場の年長者に言われたことを思い出します。
鏡開きまでは正月なんだから穏やかに過ごすものだ、と教えてくれたのでしょうが、当時の私は、「神や仏など糞食らえ」という不届き者でしたから、そんな忠告は無視してガツガツとやり、呆れられたのだろうと思います。
今年は初詣や地域の伝統行事、成人式などに、多くの人出があったようですね。
これら神事の意味も考えず集まって騒ぐことに冷めた目を向けていた私も、今年ばかりは「できてよかった」と思いました。
私たち多くの日本人は「無宗教」を自認するけれども、信仰心がないわけじゃありませんね。
自己主張よりも調和を尊ぶ私たちには、特定の何かを選ぶよりも広く浅く関わる方が馴染むのかもしれません。
「無党派」もそうですね。
特定の政党に加担するのでなく、その時々の「空気」で選ぶ。
白黒はっきりさせるのでなく、「中立」を好む。
私たちのこうした特性は、良くも悪くも批判されてきました。
それが「生きづらさ」の根本だとも言われていますが。
「本音」と「建前」の波を搔き分けて「世間」をいかに泳ぐか。
お尻が青いうちはそれができません。
それがうまくできるようになって「大人」だというわけです。
十八歳でできるでしょうか?
成人式に振袖以外の格好で参加するのはけっこう勇気がいることでしょうね。
そんな式には参加しないと決めた人もいるでしょう。
ジェンダーが叫ばれていますが、式場には届いているでしょか?
神事のほとんどが女人禁制だったりしますね。
祭りが苦手なのは、終わった後との格差が耐え難いからかもしれません。
中身のない空騒ぎや社交辞令はいまだに苦手です。
ですからクリスマスからの一連の行事が終わってほっとしているところです。
我社では、仕事始めの日にささやかな新年会を行いました。
実行委員の若手社員が中心になって、楽しいひと時を作ってくれました。
そして昨日の会議では、新年にふさわしく、改めて社員の「心得」についてお話しさせていただきました。
まだまだ二十名足らずの小さな会社です。
ハイテクでもグローバルでもない、地域に根差した福祉サービスを生業にしています。
その福祉サービスは「人」がすべてです。
担う人が明るく元気でないと良いサービスを届けることができません。
個性は大事ですが、スタッフ間であまり大きな差があってはお客様が困ります。
ですから身の丈に合った「心得」=「掟」が必要だと思いました。
掟は実行されなければ意味がありません。
そして掟を守る社員一人一人の言動が「社風」を作るのだと思うのです。
「行動指針」とも「バリュー」とも言いますね。
社員にこうあってほしい、こうあってほしくないという言葉を思いつくままにメモして、最終的に七つに絞りました。
我社の社員の七つの心得、7バリューです。
整える
向き合う
受け入れる
信じる
感謝する
見出す
追求する
「何を?」はそれぞれで考えてみてほしいと思っています。
こうあってほしくない意味の言葉を考えると分かってもらえるかなと思います。
乱れる
避ける あしらう
拒否する 固執する
疑う 軽んじる
当り前
ごまかす 無関心
あきらめる 妥協する
何事もちょうどいい塩梅が肝心です。
求め過ぎず、急ぎ過ぎず、を今年の私のテーマにしようと思いました。
会議の後で、新年会の実行委員を務めてくれた社員が近寄ってきて、引越しをすることを知らせてくれました。
親元を離れて一人暮らしをするのだそうです。
入社した頃はとてもか細い声の女の子でしたが、たくましくなったものです。
うれしかったですね。
今年はもっと社員一人一人と向き合ってみようと思っています。