新型コロナウィルスなるものが猛威を振るっています。
我々ができることは、新聞やテレビなど、専門家や政府からの情報に注意して、手洗いやうがいなど、やるべきことをして、無理をせず、この状況が収まってくれるのを耐えるしかありませんね。
そしてこんな時だからこそ、国のリーダーたちには、人々がパニックにならないように、具体策を提示するのはもちろんですが、その前に、不安を少しでも取り除くような、言葉や態度が欲しいと思います。
そのために、うそやでたらめを並べ立てるのではなくです。
レインツリーは、こんな時だからこそ、障がい者の就労継続支援B型事業所のミッションの一つとして、皆が安心していられる場所でありたいと考えます。
確かに二十名足らずではありますが、集団でいるのですからリスクはあります。
しかし、精神科医の方々も指摘しているように、家にひきこもってしまうリスクの方も相当なものです。
利用者さんの「生きる力を身につける」のも、私たちの重要な仕事だと考えています。
就職ができればそれでおしまいというわけではありません。
障がい者の方が、会社で働き続けるのは容易ではありませんから。
休まず通えるように体力をつけたり、事故やトラブルに巻き込まれたりしないように注意力を養うとか、できる限りの指導をします。
今回のようなウィルスから身を守るには、手洗いやうがいなどの基本的な習慣と、免疫力をあげる努力が必要ですね。
そのためには、質のよい食事と睡眠、それに適度な運動がいいと言われています。
レインツリーでは、毎朝皆でラジオ体操をしますが、しっかりやるととてもいい運動になります。
見ていると、利用者さんは体が硬い方が多いですね。
普段からあまり体を動かさないので、筋肉が凝り固まっているのでしょうか、そうすると血のめぐりが悪くなります。
姿勢が悪い方も多いですね。
肩が丸まり首がうなだれてしまっていますので、骨や神経、内臓にまで負担がかかります。
そうしたことを伝えながら、少しでも健康な体を目指していくのも私たちの大事な支援だと考えます。
それからもう一つ、生きていくうえで必要なのは、「争わない」ということです。
むやみに他人と争わないこと、これはいつの世の中でも大事ですね。
残念ながら私たちは、以前に比べて、事故や事件に遭遇するかもしれない確率が増しているように思います。
知的障害や発達障害の方などは、その障害ゆえの言動から、周囲が腹を立てたりする危険にさらされることがあります。
私の経験では、そうしたことは障害ゆえ仕方がないこと、周囲が寛容に受け入れるしかないと考えがちですが、ご本人も努力次第では改善できることもあると感じています。
そうしたことを指導していくのは、指導する側に大変な根気と、スキルが必要とされますが、同時にやりがいを感じられるところでもありますね。
微妙なコミュニケーションは無理でも、せめて感謝と謝罪ができるようになりたいものです。
「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えれば、ある程度の困難は回避できると思うのですが、それすら言えない方が多い。
まず指導するスタッフがお手本を示さなければいけませんね。
自己主張も結構ですが、何事も折り合いをつけることが肝要です。
それから、祈れる、というのも大事な力だと思っています。
今回のように、自分の力ではどうにもできないような困難に遭遇した時、心の安定を保つのは重要ですが、祈りに一定の効果があることは、様々な調査でも知られていることです。
パニックになって周囲に迷惑をかけたり、体調を崩さないように、まず心の安定に努めなければなりません。
祈りはなにも、神社やお墓などに行かなくてもどこででもできます。
自宅に祭壇がなくても、寝る前に布団の中で、あるいはお風呂に浸かりながら、そんなでもいいのです。
私は一人になったとき、特に散歩中などに、頭に浮かんだことを祈ります。
先日お会いした方のお顔を思い浮かべ、このご縁がどうか実り豊かなものになりますようにと。
仕事や人間関係に悩むスタッフを思い、どうか神様のご加護がありますようにと。
健康を害している人を思い、どうか癒されますようにと。
あまり自分のことは祈らないですね。
祈らずとも、神は私のすべてをご存じですから。
自分以外の人、近しい人のために祈ることは、心の安定にとてもいいですね。
心が温まる感じがします。
しかし、聖書にはこんなことも書かれています。
「自分を愛するものを愛したからといって、なんの報いがあろうか」
確かに自分と良好な関係にある人を愛するのは誰にでもできます。
「敵を愛し、自分を迫害するもののために祈りなさい」
もう一つ上の次元、自分を憎む者の幸せを祈れというのです。
これはなかなか難しいことですね。
でも、私もこの歳になってようやく、やはりこれは真理だなと、確信できたように思います。
私も人並みに、いやそれ以上に、多くの人を怒らせたり悩ませたり、迷惑をかけ、傷つけてきてしまいました。
そのなかで自分も怒り、苦しみ、傷つくことも多くありました。
今でもそうした人たちを思い出すと、胸が苦しくなることがあります。
しかし、その人たちの平安と幸せを祈ると、不思議と心が落ち着くのです。
心が満たされる感じがします。
肩の荷が降りたような気持ちになるものです。
つまりあとは神様にお任せ、というわけですね。
そうして自分が変われば相手も変わるということを、何度も経験してきました。
祈ることはけして難しくありません。
私たちは皆、祈るように造られているのですから。
利用者の一人が「みんなで神社にお参りに行こう」と言ったそうですが、本能がそうさせるのでしょうね。
自分の言葉で祈りましょう。
神様
私たちをお守りください。
子供たちや高齢者や障がい者の方たちの命が守られますように。
最前線で戦っておられる医療従事者の皆さまに、豊かな祝福をお願いします。
この国と、世界中のリーダーの方たちを支えてください。
一日も早くこの不安が取り除かれ、いつもの穏やかな日々が訪れますように。
写真:五島の浜辺にて